鈴蘭日記

自閉症で重度知的障がい者の息子のお話です。

よろしくお願いします。

ありがた家1周年に添えて。

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ありがた家1周年記念にあたり、心よりお慶び申し上げます。

この町の方なら誰もがご存知の電動車椅子のおじさん、山田百穂さんが亡くなったのは一昨年のことでしたでしょうか?

山田さんは生まれてすぐに重い病気にかかり、首から下が麻痺してしまいました。

体じゅう痛くて泣き叫ぶ山田さんを抱えて、お母さんは富山県中の病院を訪ねて歩いたそうです。

程なく山田さんに「就学免除」の四文字が書かれた通知が届きます。

以来、山田さんは30年間ジッと家の中で過ごしたそうです。



ある時、身体しょうがい者協会のお世話をするご婦人に出会いました。

「山田さん!アンタそんなことじゃダメじゃない!もっと自分でいろんなところに行かなきゃ。いろんな人に出会って、いろんなモノを見なきゃダメよ!」と諭されたそうです。

その後、山田さんに電動車椅子がプレゼントされました。

それから山田さんは、わずかに動く左手でレバーを動かし、雨の日も雪の日も毎日のように町へ出て行ったのです。



小学校の運動会があれば行ったり、町の文化祭があればそこへ行き、お祭りの時も行ったりしました。

スーパーでよく買い物をしておられた姿を、皆さんの中には目にした方も多いと思います。

もうあと2年生きてさえいれば、必ずありがた家にも行ったはずです。

そうして理事長とダラ話をし、スタッフに熱いお茶を入れてもらい、温かいお風呂にも入れてもらったことでしょう。

そう思うと無念でなりません。



私たちは山田さんの「もっとあんなところに行きたかった!」、「もっとアレもしたかった!コレもしたかった!」という願いをしっかり受け継いで、これからもありがた家を利用していきたいと思います。

山田さんの分までありがた家をみんなで支えていこうと思っています。

これからも末永くよろしくお願いいたします。