鈴蘭日記

自閉症で重度知的障がい者の息子のお話です。

よろしくお願いします。

ある豆腐屋の夫婦。

第2分科会の中で、観客席から一際異彩を放つ夫婦がいらっしゃいました。

マイクを奪って話題提供者を圧倒し、語り続けていました。

夫婦は以前から豆腐屋を営んでいましたが、息子に知的しょうがいがあることをきっかけにしょうがい者を5人雇用しているそうです。

そのほかにオバチャンを何人か雇用しているようです。

「しょうがい者なんて10年経ってやっと人並みですよ。」と、奥さんは言います。

オバチャンたちが、「昨日までやれたことがどうしてできんのかねえ。奥さん!」と小言を並べるのだそうです。

大して難しくもない、昨日はちゃんとやれたことが今日になったらやれないらしいですね。

本人もどうしてできなくなってしまったのか分からないのでしょう。

奥さんはこう言います。

「オバチャン!しょうがい者なんてスゴロクと一緒よ。進んだかと思えばまた振り出しに戻る。3歩進んで2歩下がる。そう思って気長に見てやって!これでもさぁ。去年の時と比べたらえらい上達したじゃないの!そんなふうに見てやってよ。」


また、奥さんはよくしょうがい者を叱るのだそうです。

「何で分からんかったら『分からん』と言わんのよ!!失敗してもいいんだよ。だけど、その前に『分かりません』って聞いて来なさい。それが一番大事なことなんよ!」


平成の肝っ玉母さんといったところでしょうか?

こういう元気な奥さんが日本全国にいたら、しょうがい者たちも幸せに暮らせるのだろうなあと思いました。

うちの長男に当てはめれば、まず『分からない』ことが分からないでしょうねえ。

分からなかったら人に聞きなさいということ自体解釈できないと思います。

「これをやりなさい。」と言われて、分からないからイライラして暴れだし、暴れることによって自分をアピールするのですが、周りの人からは「暴れるな!」と逆に叱られ、叱られたことで尚一層むきになって暴れてしまうというパターンでしょうか?

こういった本人の心理というものをより多くの人に理解してもらわなければ、一般雇用の道は閉ざされていく一方でしょうねえ。