鈴蘭日記

自閉症で重度知的障がい者の息子のお話です。

よろしくお願いします。

シミレーションで学ぶしょうがい者自立支援法。

◎シミレーションで学ぶしょうがい者自立支援法

中学部の保護者の皆さんへ。
保護者の中に、「もっとわかりやすく自立支援法を教えてほしい!」という要望がありましたので、今回は就労(日中活動)に関して、それぞれのサービスについて皆さんと一緒にシミレーションしてみましょう。

恐らく卒業生が利用するであろうサービスは次の5つが挙げられます。

1、就労移行支援…2年以内に一般就労を目指し、就労体験や訓練を行います。
2、就労継続A型最低賃金を保障する作業所。
3、就労継続B型最低賃金を保障することができない作業所。
4、自立訓練…一定期間において、生活訓練等を行います。
5、生活介護…食事や排泄の介助など、身の回りの支援を行います。



それでは具体的にシミレーションしてみましょう。

1、就労移行支援事業所とは…
A君は強く一般就労を希望していました。
ところが、卒業間際になってもなかなか就職先が見つかりません。
そこで、コーディネーターさんに相談したところ、「しばらくは移行支援を使っていろんな職場を体験してみてはどうか?」と言われました。
A君自身もその言葉に従うことにし、支援法の手続きを申請しました。
しかしながら、移行支援は2年の期限付きです。
A君にとっても事業所にとっても、2年以内に就職しなくてはいけないというプレッシャーが掛かることになります。

2、就労継続A型事業所とは…
B子さんは養護学校を卒業し、しばらくは老人介護施設で働いていました。
ところがいじめに会い、「同じしょうがい者のいるところで働きたい!」と思うようになりました。
それでもB子さんは高い能力を持っています。
B型の事業所よりは工賃の高いA型の事業所に行こうと決めました。
反面、B型よりは工賃が高い分だけ仕事量が要求されます。
事業所にとっても、どういった仕事をさせたら良いのか頭の痛いサービスです。

3、就労継続B型事業所とは…
富山では主流のサービスです。
C君は高等部の時から「B型でいいんだ。」と決めていました。
ところが、富山県が掲げた「しょうがい者福祉計画」では、B型事業所の工賃を23年度末までに平均2万4千円に上げるよう目標値を定めています。
C君は「僕のせいで平均工賃を下げてしまうのではないか?」と今から心配しています。

4、自立訓練とは…
D君はあまり作業が得意ではありませんでした。
作業所に行ってもすぐに作業を始められるか心配でした。
そこで、事業所の所長さんに勧められ、まずは「自立訓練」のサービスを受けることにしました。
家ではあまりやったことのない掃除や洗濯、昼食の後片付けなどの生活訓練をしていくうちに、事業所の雰囲気も段々慣れてきました。
訓練の要素を多く含み、養護学校を卒業したばかりの子には適したサービスも2年間の期限付きです。
その後は就労継続支援のサービスへと移行しなければなりません。

5、生活介護とは…
E子さんは重度のしょうがいがあり、常に介助が必要です。
卒後は迷わず生活介護サービスの手続きを取りました。
しかしながら、単価が高く毎月の利用料が生活を圧迫します。
また、稼働率を上げるため定員以上の利用者がおり、本当に手厚いサービスが受けられるのかE子さんは不安を抱えています。

 

いかがでしたか?
今までは「福祉就労」という単純な呼び名だったものが、「しょうがい者自立支援法」により、複雑怪奇なものへと変わってしまいました。
「このサービスならうちの子に合っているのではないか?」と思ってみても、期限付きだったり、単価が高かったり、不都合なことばかりが支援法なのです。
実はこの法律は、「自立支援法」とはいうものの、「就労支援法」なのですね。
例えしょうがいがあっても一社会人として働きなさいという国の思惑が各サービスの奥に潜んでいます。

支援法はこれで完成されたわけではなく、これからも毎年富山の福祉は徐々に変わっていきます。
どうぞ、いろんな電波を張り巡らせてより良い情報をゲットしていってください。
そうして、「サービスが足りない!」ということであれば、事業所や行政にどんどん要求していきましょう。
少なくとも私たちは卒業後に在宅にはなってもらいたくないと願っています。
ならば、中学部の今から訴えていく必要があるのではないかと私は感じています。