鈴蘭日記

自閉症で重度知的障がい者の息子のお話です。

よろしくお願いします。

知的しょうがい者の事例。

サークルも休止し、養護学校の役員から育成会役員へと変わったので、パソコンの部屋の様々な資料を整理しました。

すると、4年前に養護学校のお母さんたちに配った手製の資料が出てきました。

市の育成会で講師の先生を招いてお話を伺ったとき、様々な知的しょうがい者の事例について話してくださいました。

読み返すととても面白いのでここで紹介したいと思います。




事例1


ある時みんなで旅行に行きました。

それぞれにはちゃんとお小遣いを持たせているんです。

ところが自動販売機を前にしているのに「先生。ジュース買ってもいいか?」と大の大人が聞いてくるんです。

大きくなってもなかなか自己決定ができない人たちだと言えますね。


事例2


みんなで出かけた時に給食が1個足りなかったんです。

それで「○○君。給食が足りないから牛丼を買いに行こう。」と言った矢先にその人がパニックになってしまいました。

「給食が足りない。」ということしか耳に入らなかったんですね。

「牛丼を一緒に買いに行こう。」とだけ言ってやれば良かったんです。

言葉掛けに注意してやることが大切ですね。


事例3


グループホームのメンバーの1人がどうしても家から脱走して困ったことがありました。

家に鍵を掛けても窓から出て行くし、窓に柵を付けても壊して出てってしまうのです。

どうしたものかと思案して、スケジュール表を細かくすることにしました。

今までは「起床・作業・昼食・作業」といった大雑把なものだったんですね。

それをもっと細かく「○時○分起床・○時○分朝食・・・」といった感じできっちりと組んでみたんです。

そしたらパタッと脱走しなくなりました。

見通しをつけてやるということで落ち着いたんですね。

生活のリズムができたんです。


事例4


物を何でも壊してバラバラにする人がいたんです。

時計でも自転車でも何でもです。

周りの人たちは「仕方がない。」と諦めるのですが、近所の人の物まで壊すので厳しくお叱りを受けたこともありました。

どうしたものかと思っていたところに、リサイクル業を営む社長さんと出会いまして、彼を雇ってもらうことにしました。

するとその彼がもの凄く熱心に働くんだそうです。

どんな物でも細かく分解して分別するので非常に働き者だと社長さんに誉められました。

本人の特性を活かして、こだわりを上手く利用し、労働させることが大切だと思います。

その後も社長さんからもっとたくさん人材が欲しいと言っていただきました。

一般の方と変わらず時給800円で採用させてもらいました。

私たちは無論しょうがい者ですので、そんな高い賃金は払わなくてもいいと思うのですが、「従業員だから。」というので一般の方と変わらない額なんですね。

でもその代わり、少しでも仕事ができなければ「即クビ!」ですよと言われます。

就労するということはそういうことなんです。


事例5


春になって花壇いっぱいにチューリップが咲いたのに、花を全部茎のところでちょん切ってしまった人がいたんです。

どうしてそんなことをしたのか問いただすと、チューリップフェアに行った時に「球根を太らせるにはすぐ花を取ってしまうのが良い。」ということを聞いてきたんだそうです。

本人は良いことをしたのにどうして先生たちは怒るのかといった感じでした。


事例6


電車で会社まで通勤している人がいました。

彼はいつも一つの目安としてある女の子の隣に座ることにしていたんです。

特に好意を持っていたわけでなく、あくまで目安だったんですが、ある日雨が降っていて、自分の傘がその女の子の膝に触れて膝が濡れてしまったんです。

彼は慌てて「すみません!」と言って彼女の膝をハンカチで拭いたそうです。

その後彼は痴漢ということで鉄道公安局に逮捕されてしまいました。

女の子にすれば毎朝付きまとってくる痴漢に見えたんですね。

警察ではヘトヘトになるまでしぼられたようです。

後で「誤解を招くようなことをしてはいけない。」と注意したのですが、彼は「警察は怖い!!」という言葉しか繰り返さなかったそうです。


事例7


高機能しょうがいの人がいて、「グループホームは嫌だ。一人暮らしがしたい。」ということでアパートを借りて住んでいました。

私たちも一週間に一度くらい様子を見に行ったりしていたのですが、残念なことに彼はアパートで死んでいました。

大変お金を貯めることに執着する人で、コツコツと節約していました。

電気コタツでは電気代がもったいないと考えたのでしょう。

会社の人に練炭が良いと言われたらしく、彼はその通りにして一酸化炭素中毒で死んでしまいました。


事例8


通所施設では毎日遅刻してくる人がいます。

親御さんに「これでは困ります。」と言うと、「しょうがい者なんですから大目に見てください。」などと言われます。

では将来彼のことをどう考えているのか問いただすと、「できれば一般就労させたい。」と言われます。

就職すれば遅刻など許されませんね。

そんなことをしたら即クビになってしまいます。

親御さんも子供にはもう少し厳しく接して欲しいと思います。



以上。

しょうがいは重ければ生き辛いですし、軽いからといって、では生き易いかといえば決してそんなことはありませんよね。

この様々な事例を踏まえて、子供のうちからやらなければならないことがたくさん出てきたような気がします。

今日の記事が皆様のお役に立ちますように。。。