サポートブック
3月12日まで担任の先生は研修に行ってしまい、副担任は2学期の途中から長期療養中。
ということで、3学期は臨時の先生が担当することになってしまいました。
急遽個別懇談会をしたいと言われまして、それに合わせて久しぶりにサポートブックなるものを作ってみました。
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長男について
長男についてですが、言葉がほとんど理解できないほど知的レベルは低いと思われます。
一応自閉症ですが、こだわりはそれほど無く、むしろ理解力の乏しさがコミュニケーションの妨げになっていると思われます。
支援する側も「わかっているだろう。」と過信してしまうと思わぬトラブルを招くことになるので細心の注意が必要です。
◎言葉の理解について
言葉はほとんどわかっていないのではないでしょうか?
家でも通じないことが多々あります。
本人から何か言ってほしいとアプローチを掛けてくることがありますが、ワンパターンの言葉ばかり要求してきます。
例えば片付け物が終わると「上手だね。明日も片付けてね。」などと言って欲しいと要求します。
単語は3文字が限度だと思います。
「りんご」や「いちご」は理解し、書くことができても、4文字以上になると文字の並びがわからなくなるようです。
文字と文字の組み合わせによって単語を並べているのではなく、何となくうろ覚えで文字を記憶しているので、「とうもろこし」のような長い言葉だと「ともろうこし」になったり滅茶苦茶になります。
担任の先生はよく工夫されて、黒板に絵を描いて休日に何をしたか訊ねていらしたようですが、これなどもクラスメートと同じ答えを選んだり、前回に聞かれたことと同じ答えを選んだりと必ずしも正答ではなかったように思われます。
◎数字について
数字も10まで数えるのが限界だと思われます。
夏休みに50個まで数える宿題が出ましたが、正しく書けたものはほとんどありませんでした。
また、「9」の字をどうしても「01」と書いてしまうクセはいまだに直りません。
これも恐らく数字そのものの理解が乏しいからではないでしょうか?
親の思いとしては、10まで数えられれば上出来です。
作業所の支援員さんも10まで数えられれば作業がしやすくなると言っています。
それ以上の学力など必要ないのではないでしょうか?
◎こだわりについて
あまりこだわりが激しくて困るということはありません。
むしろ何かにこだわってくれたほうが知的レベルがアップして良かったのかもしれません。
強いて言えば片付けが見事です。
デイサービス先でもボランティアの方が、「この皿はどこにしまうの?」と聞くとドンドン食器棚に片付けていくそうです。
お手伝いなども流れに沿って順に取り組むので大変助かっています。
学校のある時も毎朝お茶碗を洗い、洗濯物を洗濯機から出してそれから学校に向かうので、私は干すだけになってとても有難いです。
夕方には一緒に夕食の支度をやります。
包丁など下ごしらえが苦手なので、大方私が材料を切ってしまうとやって来て、炒め物、焼き魚、味噌汁などを作ってくれます。
作業なども「たくさんやったね。」と誉めるより、ノルマが無くなったことを誉めるほうが良いと思います。
無くなることの楽しさ、全て使い切る面白さを感じながら生きているように思われます。
長男らしいと言えば、スキーによく行きますがどう見ても流れ作業をしているようにしか見えません。
いつも10回券を買ってお父さんと滑ってくるのですが、飲まず食わずで10回ノンストップで滑ります。
上手いので中級リフトでも良さそうなものですが、最初に初級リフトに乗ってしまったのでいまだに中級リフトに挑戦していません。
リフト券にハサミを入れる地元のオバチャンが「アンタたち早く滑り過ぎるよ!」などと声を掛けてきたそうです。
これなども笑えるエピソードですね。
◎コミュニケーションについて
このように学力の乏しい、知的レベルの低い長男が、どうしてきちんとお手伝いできたり、作業所で1日作業ができたりするのでしょうか?
それは、長男に備わっている「真似る」という技と、人に身を委ねる強い依存心から来ているのだと思われます。
家では友だちはいませんから人の真似をするということはあまり見られませんが、学校では常に友だちや先生を観察し、真似をしているようです。
この真似や人に依存する心が長男を育ててきました。
昨年の運動会ではマラソンに出場しましたが、軽く抜けるはずの中学部の生徒さんを結局は最後まで抜かずに後ろにピタリと付いてゴールしていました。
これなども正に長男らしいエピソードです。
長男は時々おかしな指パッチンをしています。
これも人の動きを観察し、頭の中に入れている仕草です。
卒業式のときに証書をもらいに演台に立つ卒業生をいちいちチェックして指パッチンを繰り返しています。
自分も同じように証書をもらっている気分なのでしょう。
報告するのは好きなようで、よく「お茶碗洗ったよ」、「掃除機終わったよ」などと報告してくれます。
カレンダーを毎日見て、週末に何をするか訊ねてきます。
その日のスケジュールが書いてある自分専用の日めくりカレンダーを廊下に掲げてあって、1日の行事が終わると夕方にサッサと捲ってしまいます。
また、1ヶ月が過ぎると「スケジュールを書いて」とせがまれます。
◎趣味について
担任の先生に「長男君は何をすることが好きなのですか?」とよく訊ねられて困りましたが、長男はテレビも見ませんし、本も読みませんし、音楽も聴きません。
私も長男が小さな時は何か打ち込めるものがないかと探しましたが、今は逆に無趣味こそ最高の醍醐味だと思っています。
こちらから何か仕掛けなければならない苦労はありますが、私の内職を手伝ったり、夕食の準備を一緒にしたり、デイサービスでお手伝いをすることは、それこそが最高の趣味であり素晴らしいことなのだと思えるようになりました。
友だちの真似ばかりをして依存心が強く、自分の個性というものがないのは寂しい人生かもしれませんが、それ自体が長男の個性なのだと思います。
だからこそ、こんなにも社会性に富んだ子になったのではないでしょうか?
冬休みに作業体験に行った時も、作業を誉められるより「今日はみんなのお茶を入れてくれたんですよ。」と支援員さんに言われたことのほうが私は心底嬉しかったです。
◎卒後の進路について
上にも書いたとおり、冬休みに第2志望の作業所で体験しました。
日記にも書きましたが支援員さんから大変評価されています。
今すぐに就労しても良いくらいです。
し
かしながら、目指すは第1志望です。
高等部残り2年間で更に体験を重ね、即戦力になるよう精進していきたいと思っています。
◎その他
中学部のときは咳パニックに周りが大変苦労しました。
人の咳が大嫌いなのです。
特に男先生の咳は叱られているようで怖いみたいです。
幸い大学病院の先生に安定剤をいただきまして、今年の冬はとても落ち着いています。
恐らくこのまま乗り切れるでしょう。
時々周りで咳をすることがあれば、少し注意して見ていただけると有難いです。
行動については、わかっているだろうと過信すると思わぬ落とし穴にはまります。
長男は今クリーニング班に在籍しています。
先生のご指導のおかげで大変上手になりました。
では、掃除機や窓拭きの意味を彼は本当にわかっているのでしょうか?
もしかしたら、ただ前回の真似を忠実にしているだけなのかもしれません。
昨年末に担任の先生が教室の窓拭きをさせてみたところ、滅茶苦茶に雑巾を動かして「あれ?」と思われたそうです。
高等部の玄関窓は誠に上手に磨くのに、場面が変わってしまうと同じ窓でも全く拭けなくなってしまうのです。
これが長男のエアポケットです。
家での掃除機やクイックルワイパーもそうです。
本当にきれいにしようという意識があるのでしょうか?
本人の理解する力がどこまで伸びていて、どういうふうに作用しているのかを確認しながら、私たちは支援していかなくてはいけないと認識しています。
何でも上手にやっている・・・だけど、もしかしたらそれは人真似をしているだけなのかもしれない。
ここの判断が私に重くのしかかってきます。
このようにいろいろと面倒な長男ですが、上手に使ってやるとニコニコとそれは楽しそうに働きます。
決して厄介な子ではないと思いますよ。