鈴蘭日記

自閉症で重度知的障がい者の息子のお話です。

よろしくお願いします。

何故泣くの?

今回は息子とは関係ない話。

 

年寄りがグループホームを追い出されて精神科に入院することになりました。

介護士を叩いたり、服を脱いでしまうそうですが、88歳にもなった高齢者が暴れるといってもたかが知れています。

知的障がい者のパニックと比べれば可愛いものです。

グループホームに入所当時から、やたら利用者の入れ替わりが激しく、「回転の早い施設だなあ。」と感じていましたが、とうとう身内にも降りかかってしまいました。

もともと出すつもりだったのなら、入所なんかさせなければ良かったのに。。

お金を絞るだけ絞って捨てられるのか。

退所する朝、迎えに行くと4人の介護士さんが出てきて涙を流して別れを惜しんでいました。

私はそれを俯瞰して見ていました。

何故泣くんだろう。

泣く前にどうにか出来なかったのかしら?

 

そのまま精神科病院に向かいました。

年季の入った建物です。

2階の二重ロックの掛かった部屋に通されました。

そこはだだっ広く、交流にも運動にもレクレーションにも、何にでも使えるような部屋になっていました。

病院服を着たお年寄りが30人ほどいたでしょうか?

奥のほうに病室はあるそうですが、案内してはくれませんでした。

患者の中には異食するものもいるとかで、下着以外は一切受け取りませんでした。

看護師2名、介護福祉士1名、作業療法士2名、それとコーディネーターと6人の担当者がぐるりと囲んで面談をしました。

どれも熟練されたベテラン揃いといった感じです。

年寄りの入院は「医療保護入院」と言われるもので、11ヶ月ごとに更新なんだそうです。

もう高齢ですから、どちらかというといざという時の話ばかりでした。

 

年寄りにとって最後の砦になるのか、これからのことは分かりません。

淡々と運命を受け入れていくしか術がないのです。

年寄りも。息子も。